モータースポーツ
普段はスーパーオートバックス富山南で勤務する石川昌平選手。しかし週末になると、エアコンすらないGRヤリスで全日本ラリーに参戦しています。カー用品店スタッフと全日本ラリードライバー……その振れ幅の大きな日常と、競技車の秘密に迫りました。
――そもそも、ラリーに興味をもったきっかけは何だったのでしょうか?
石川昌平選手(以下、石川):父親がクルマ好きで、家にWRC(世界ラリー選手権)のビデオがあったんです。それを見て憧れたのがきっかけですね。少し古い時代のもので、ランチア・デルタとかでしたけど。
――F1やサーキットのレースではなかったんですね。
石川:F1も見ていました。シューマッハとかハッキネンが活躍していた2000年くらいですね。地元にレーシングカートのコースがあったので、中学、高校くらいのときには、バイトをしながらカートもやっていました。
――でも、最終的にはラリーを選んだわけですね。
石川:もともとラリーへの憧れが強かったんですよ。自由自在にクルマを動かしている感じが、かっこよかったんですよね。小学生のころ、自転車でドリフトみたいなことをして遊んでいましたし(笑)。
――どのようにしてラリーを始めたんですか?
石川:地元の栃木県にあった「メープルスポーツ」というラリーショップに行って、「ラリーをやりたいんです!」って。でも高校生で、まだ免許を持っていなかったので、「免許を取ったらまたおいで」と言われました。高校卒業後は、自動車メーカーでテストドライバーとして働いて、お金を貯めながらカートにも本格的に取り組みました。そして改めてメープルスポーツさんに行って、紹介してもらったシビックを購入して、2009年に群馬ラリーシリーズへ参戦しました。
――いよいよ、本物のラリーに出たわけですね。
石川:そうですね。しかも運よく1年目でチャンピオンになれました。
▲全日本ラリー参戦5年目となる2015年には、当時26歳の石川選手がBRZでJN4クラス年間王座を獲得しました
石川:もちろんです。それで23歳のときに富山へ来ました。最初はヴィッツで、その後BRZへ乗り換えて、2015年には全日本シリーズチャンピオンを獲得しました。
▲ダート走行時は15インチのENKEI製RC-G5ホイールにダンロップ製DIREZZA 88Rを装着。サスペンションはKYB製のラリー用ダンパー。ブレーキはターマック(舗装路)のラリーでは、より大型のものに変更されます
――ちなみにエアコンはないんですよね?
石川:そうなんですよ(笑)。でも、ラジエーターにできるだけ風を当てたいので、そうするとエアコンのコンデンサーが邪魔になるんです。水温重視で外しています。場合によってはヒーターまで使うくらいです。
――ヒーターを使うんですか?
石川:ヒーターを使うと、冷却水の熱をヒーターコアから車内へ逃がすことができ、エンジン冷却を助けることができます。水温が厳しいので。ドライバーとコ・ドライバーは、もう耐えるしかないですね(笑)。だからリエゾンでは窓を開けて、夏場には飲み物を2Lほど車内へ持ち込んでいます。
▲車両にはスペアタイヤを装備しており、パンク対応用の電動インパクトレンチや工具類も積み込んでいます
▲ラリーでは、助手席でペースノートを読んでくれるコ・ドライバーの存在も不可欠。「自分にぴったり合うコ・ドライバーを見つけることは、ラリーで勝つために重要な要素です」と石川選手
▲チームの監督を務める株式会社ピューマ マーケティング事業部 CSR活動推進部 兼務 販売促進部の中西正亮次長
――石川選手は、店舗ではどのような業務を担当されているのですか?
石川:最初は一般のピットスタッフでしたが、現在は競技車両のメンテナンスや整備、ラリー関連イベントへの対応などが中心です。ただ現在も、勤務時間のおよそ3分の1を、店舗でのピット作業や重整備の応援に充てています。
――いまも店舗の作業にはかなり入っているんですね。
石川: そうですね。私はもともとピットスタッフですし、店舗側の大変さはわかっていますから。
――そうした経験が、今の若い社員がモータースポーツに挑戦できる環境づくりにもつながっているんですね。
中西:クルマ好きの社員が入社したときに、自由にモータースポーツを楽しめる環境や、仲間を作れるようにしていきたいんです。現在は、eモータースポーツ出身の若手社員も入社して、TGRラリーチャレンジへ参戦しています。「クルマ好きで、モータースポーツが好きで、メカニックをやりたいなら、ぜひ富山のオートバックスに来てください!」と言えるような環境にしたいですね。
▲ドライバーとしてステアリングを握る石川選手ですが、マシンの組み上げや日常の重整備、セッティングの煮詰めに至るまで、そのほとんどを自分自身の手で行っています
山道を全開で駆け回るGRヤリスのステアリングを握っているのは、私たちにとっても身近なオートバックスのスタッフ。過酷なモータースポーツの現場で培われた確かな技術と知識を持つ方々に、普段のクルマのメンテナンスやカスタマイズの相談に直接乗ってもらえるのも、スーパーオートバックス富山南ならではの魅力です。富山にお越しの際は、頼れるラリードライバーに会いに、ぜひお店へ足を運んでみてはいかがでしょうか。
(クレジット)
編集:交通タイムス社
写真:木村博道/廣本 泉
取材協力:スーパーオートバックス富山南(富山県富山市婦中町塚原1200)